2.2. 化学の基本
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物質:元素と化合物
すべての生物とそのまわりのすべては物質でできている
体積と質量をもつもの
物質は地球上では3つの物理的状態(固体、液体、気体)で存在する
物質はそれ以上分割できない元素から構成されている
地球上には自然に存在する元素が92種ある
炭素、酸素、金など
すべての元素は周期律表に記載されている
92種の自然元素のうち、25種は生命に必須
このうちの4種, 酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)はヒトや他の生物の重量の99%を閉めている 残りでは7種の元素が重量で4%を占めており、カルシウム(Ca)やリン(P)など カルシウムは強い骨や歯をつくるのに必要で、牛乳や乳製品、イワシ、緑色野菜に多く含まれている
リンはDNAや他の重要な生体物質の成分であり、卵や豆、ナッツなどを食べることで摂取できる
ほんの少量必要なものではあるが、これらがないと生きられない
平均的なヒトは毎日約15mgという微量のヨウ素を必要としている 食塩にヨウ素を添加することで、多くの国から甲状腺腫がほぼなくなった フッ素も生命の微量元素の1例で、健康な骨と歯に必要 元素が結合して化合物をつくる
化合物は2個以上の元素を一定の比率で含んでいる
ありふれた例としては食卓塩や水のような比較的単純な化合物がある
水の分子は水素2原子と酸素1原子からできている
生体の化合物はのほとんどは数種の異なる元素を含んでいる
DNAは炭素、窒素、酸素、水素とリン
原子
各元素は他の元素の原子とは異なる特定の種類の原子からなっている
元素の性質を保持する最小単位
炭素という元素の最小量は1個の炭素原子
原子の構造
1個の正電荷をもった亜粒子
1個の負電荷をもった亜粒子
電気的に中性の亜粒子
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ヘリウム原子は2個の中性子と2この陽子が強く相互作用して原子核 nucleusを形成する 2個の電子は核の周囲の球状の雲として光に近い速度で動いている
この電子雲は原子核よりも遥かに大きく、電子雲をフットボールスタジアムにたとえると、原子核はその中にいるハエのサイズになる 負電荷をもった電子と正電荷をもった陽子の間の引力が、運動する電子をひきつけている 原子がヘリウムのように電子と陽子を同数持っていると、正味の電荷はゼロになり、電気的に中性
各元素は原子内の亜粒子の数が異なっている
ヘリウムはいつも2個の陽子をもち、原子番号は2
陽子と中性子はほぼ同じ質量を持っている
電子の質量は非常に小さく、陽子の質量の1/2000ほどしかない
つまり、ほぼゼロとみなせる
ヘリウムの質量数は4(陽子2+中性子2)
各原子の原子番号と質量数は周期律表に記されている
同位体
1つの元素の異なる同位体は同じ数の陽子と電子をもっているが、中性子数が異なっている
同位体とは、質量が異なる同じ元素のこと
炭素の3種の同位体
中性子6+陽子6
自然界の炭素の約99%
中性子7+陽子6
残りの1%のほとんど
中性子8+陽子6
微量存在
陽子数が異なれば炭素ではないということに注意せよ
つまり原子核はほぼ永久に安定を意味する
原子核が崩壊して粒子やエネルギーを放出するもの
放射性同位体は生物学の研究や医学において様々な用途がある
細胞は元素として非放射性同位体と全く同じように放射性同位体を取り込む
ひとたび放射性同位体が取り込まれれば、その位置と濃度はそれが発する放射線によって検出することができる
この性質を利用して放射性同位体をトレーサー(追跡装置)として、生命における原子の挙動を追うことができる たとえばPETスキャンとよばれる医学診断装置は、人体に投与された微量の放射性物質を検出することができる PETは心臓病やある種のがんの診断をすることができる
放射性同位体は制御せずに被曝すると細胞を作る分子、特にDNAに障害を与え、生物に害を与えることがある
1986年のウクライナのチェルノブイリの核反応炉の爆発は大量の放射性同位体を放出し、数週間で30人が死亡し、何千の人々が癌発生のリスクを負った
ウクライナの子どもたちの甲状腺癌の発生件数は、事故後10年間では10倍に増大した ラドンは放射性の気体で、肺癌を引き起こす可能性がある 放射性元素ウランを含む自然の岩石のある地域では、建物がラドンで汚染されていることがある 原子の電子配置と化学特性
これまで説明してきた3種の原子内亜粒子のうち、電子は、原子が別の原子と出会ったときどのようにふるまうかを主に決めている
電子はもっているエネルギーに違いがある
電子が原子核から遠くにあればあるほど、そのエネルギーは大きい
電子は原子の周りを無制限のエネルギーレベルで動き回っているのではなく、電子殻とよばれる特定のレベルのところで運動している 電子の数に依存して原子は電子殻を1個、2個またはそれ以上持っており、最外殻の電子が最も高いエネルギーをもっている
各電子殻にはそれぞれ決まった数の電子まで収容することができる
最内殻(K殻)はたった2個の電子でいっぱいになり、2番目や3番めの電子殻はそれぞれ最大8個まで主要できる 最外殻の電子数は原子の化学的性質を決定する
外側の電子殻が満杯になっていない原子は他の原子と相互作用する傾向が強い
生物学的に重要な4種の元素の外側の電子殻は満たされていないので、他の原子と容易に反応する
水素原子は2個の電子を収容できる電子殻に1個の電子をもち、非常に反応性が高い
炭素や窒素、酸素の原子も、8個の電子を収容できる外側の電子殻が満たされておらず、非常に反応性が高い
対照的にヘリウム原子は2この電子で満たされた第1レベルの電子殻を持っており、結果としてヘリウムは化学的に不活性
化学結合と分子
化学結合では原子は電子を放出もしくは獲得し、それによって外側の電子殻を満たすことができる そのため、原子は外側の電子をやりとりしたり、共有したりする
本項では3種の化学結合(イオン結合、共有結合、水素結合)について説明する
イオン結合
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塩素原子がナトリウム原子から1個の電子を奪うと、この電子の授受によって両方の原子の外側の電子殻が満杯になる
この電子の授受の前は各原子は電気的に中性である
電子は負に帯電した粒子であるので、その電子授受ではナトリウムから塩素原子へ1この電子が転移し、両方の原子はイオン ionとなる イオンとは、電子を獲得したり失ったりして電荷を帯びている原子を表す用語
1個の電子を失ったナトリウムイオンは+1の電荷を持ち、1この電子を獲得した塩素イオンは-1の電荷をもつ
食塩のようにイオン結合で形成される化合物をイオン化合物という 地球の地殻にあるフッ素はしばしばイオン化合物として見つかる 英語では、陰イオンは-ideとつくことが多い e.g. chloride, fluoride 共有結合
メタンという気体の分子(CH₄)では、各水素原子は炭素原子と共有結合でつながっている
1つの原子が形成できる共有結合の数は、その外殻を満たすのに必要な電子数に等しい
H₂の1対の電子の共有(単純結合)は両方の水素原子の外殻を満たしている 一方、酸素は外殻を満たすのに2個の電子を必要とする
O₂分子では、2この酸素原子は2対の電子を共有し、二重の共有結合(二重結合)を形成する 水素結合
水(H₂O)もまた分子
2個の水素原子が1個の酸素原子に単結合でつながっている
しかし、共有結合の電子は酸素と水素の間で均等に共有されていない
酸素が水素より共有する電子をより強く引きつけている
負電荷を持つ電子の付近等な共有とY字型の結合によって水分子は極性をもつ 分子の両端に反対の電荷をもつ
水の場合は、分子の酸素側に少し負電荷を帯び、2個の水素原子のあたりに少し正電荷を帯びる
水の極性によって、近くにある水分子同士は電気的に弱く引き合うようになる
1つの水分子の水素原子が、隣接する水分子の酸素原子の近くにくるように水分子全体が配向する
化学反応
生命の化学はダイナミックである
細胞では既存の化学結合を切断して新しい化学結合をつくることで、常に分子の更新が起きている
簡単な例は、酸素ガスと水素ガスが結合して水を作る反応
2分子の水素ガス(2H₂)は1分子の酸素ガス(O₂)と反応して、2分子の水(2H₂O)を生成する
反応物と生成物では結合のまとまりは違うが、同じ数の水素原子と酸素原子が存在することに注意
化学反応は単に再構築するだけ
この再構築では通常、反応物の化学結合をこわし、生成物での新しい結合をつくる